2021.01.22
1 機器製造会社Xが販売店Y対し、平成25年9月1日、代金支払時期を同年11月30日として、商品甲を代金100万円で売り渡したとします(以下、本件契約といいます。)。この場合のXの代金債権を担保する方法として、所有権留保というものを紹介します。
(1)所有権留保とは、本件契約の中で、代金完済まで商品甲の所有権をXに留め置くという特約をするものです。
民法176条によれば「物権の…移転は、当事者の意思表示のみによって、その効力を生じる」とされており、売買契約における売主の意思表示は「財産権を相手方に移転することを約し」という形でされる(民法555条)のが原則です。ですから、所有権留保とは、それとは異なる特約をXY間で交わすということであり、売買契約書をみていると偶に見かける記載です。
(2)このような特約に基づいて、Xとしては、Yから平成25年11月30日までに代金の支払がない場合、本件契約を解除します。特約により、商品甲の所有権はXの基に留保されているのですが、にもかかわらず、Yの基に商品甲があるということは結局本件売買契約においてYに商品甲の使用権収益権が認められているということです。このようなYの使用権等を消滅させるため解除が必要とされています。
そして、本件契約を解除すれば、Yの使用権等は消滅します。そこで、XはYから商品甲の返還を受けることで代金債権を担保するということです。
(3)かかる特約は、第三者にも効力を有するとされていますので、たとえ、YがZに商品甲を転売していたとしても、原則として、XはZに商品甲の返還を求めることが出来ます。
ただ、所有権留保により、効率良い運用をしていくなら、御社の商品売買のシステムそのものを開発する必要があります(売買契約書等をどのようにするか、商品をどのように流通させるか、代金支払いがなかった場合誰が何時どのように対応するか等々)。
この点、当事務所にお任せ頂ければ御社の実体にあったシステム開発をさせて頂きますし、まさかの時にその威力は見逃せません。
債権回収の相談は村上新村法律事務所まで
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2021.01.22
1 公正証書を利用した債権回収の利点
例えば、あなたが、Aさんに頼まれて80万円を本人に貸したとします。その後、約束の日になってもAさんは80万円を返してくれません。このとき、何も用意していなければ、あなたはAさんに対して「お金を返せ」という訴訟を提起し、判決という形の「債務名義」をもって、強制執行をすることになります。
しかし、裁判というのは終わるまで、結構時間がかかります。80万円が早急に必要な場合であれば、特に困りますよね。このとき、判決に代わる「公正証書」を予め作成しておけば、裁判を経ることなく、迅速に強制執行手続に移ることができます(民事執行法22条5号)。これが公正証書を利用した債権回収の一番の強みです。
2 判決に代わる「公正証書」とは?
公正証書は、公証人によって作成されるもので、公証人は裁判官や検察官を退職した方等が就く役職ということもあって、公的な証明書として社会的に高い信用性が認められています。
そして、その高い信用力を根拠として、契約などの法律行為を示す公正証書のうち、法定の要件(①金銭の支払等を目的とする請求権であること②「執行受諾」文言の記載があること)を満たすものは「執行証書」とよばれ、確定判決に認められるものと同じ執行力が認められます。ただ、その要件からして、不動産の明渡請求権等の執行には用いることが出来ない点に注意してください。
例えば、最初の事案であれば「①(あなた)とAは平成○年○月○日付で、弁済期を平成×年×月×日とする金80万円の返還約束をし、80万円を交付した。②債務を履行しないときにはAは直ちに強制執行に服する」という記載の公正証書を作成すれば、裁判をせずに強制執行できるということです。
3 公正証書作成
以上のように、執行力を有する公正証書を作成しておくことは、債権回収として非常に有用です。もっとも、公正証書作成には一定のルールがあり、また、どのような公正証書を作成することが効率的な債権回収につながるかは、弁護士の専門的知識と経験が物を言います。
この点、当事務所に相談してもらえば公正証書作成のアドバイスを丁寧にさせていただきます。お任せください。
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投稿者:
2021.01.21
弁護士による債権回収は、一般的に次のような流れになります。
(1) 弁護士名の内容証明郵便による督促
弁護士があなたの代理人として、債務者に対し「通知書」という形で債務の履行を督促します。通知書には、支払期限までに支払わないときは、法的手段をとることを併記し、任意での支払いを促します。この通知で支払いを行わないときは、以下のような法的手続がとられるため、支払いを促す心理的な効果もあるようです。
(2) 仮差押え
仮差押えとは、金銭債権の執行を保全するために、債務者の財産の処分に一定の制約を加える裁判所の決定で、具体的には、不動産の仮差押え、債権の仮差押えなどがあります。
金銭債権の回収を図るためには、次の民事訴訟を提起して判決などの債務名義を取得した上で、債務者の財産に対して強制執行をする必要がありますが、裁判には一定の時間がかかります。その間に、債務者の財産が散逸してしまったりして、強制執行をしても満足を得られなくなってしまうという危険を防ぐため、債務者の財産を仮に差し押さえておくというものです。
ただし、あくまで仮の差押えですので、後に民事訴訟によって請求債権が存在せず、債務者に損害を与えてしまったような場合のため、担保金を積む必要があります。担保金の額は、事案によって様々ですが、不動産の仮差押えの場合で、その不動産の価格の5~35%程度になります。
債務者が財産を処分してしまう可能性が高い場合には、上記(1)に先んじて仮差押えを取得しておくこともあります。
仮差押えがなされた段階で、その仮差押えを解除するために、債務者から任意で支払われる場合もあります。
(3) 民事訴訟の提起
裁判所に対し、「被告は原告に対し、金○○円を支払え。」との判決を求める手続きです。判決が得られた場合には、この判決が債務名義となり、次の強制執行を行うことができます。
また、裁判所内で、債務者の収入等に応じた和解(例えば分割払いなど)が成立することもあります。なお、裁判所で和解が成立した場合には、和解調書が作成され、その和解内容は判決と同一の効力を持つことになりますので、仮に和解の内容通りに支払ってもらえない場合などには、その和解調書が債務名義となって、強制執行を行うこともできます。
(4) 強制執行
国の力を借りて相手方の財産を強制的に換価し、その代金から債権回収を図る方法です。具体的には不動産の強制競売、預金や給料の差押えなどがあります。
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