2021.01.22
1 公正証書を利用した債権回収の利点
例えば、あなたが、Aさんに頼まれて80万円を本人に貸したとします。その後、約束の日になってもAさんは80万円を返してくれません。このとき、何も用意していなければ、あなたはAさんに対して「お金を返せ」という訴訟を提起し、判決という形の「債務名義」をもって、強制執行をすることになります。
しかし、裁判というのは終わるまで、結構時間がかかります。80万円が早急に必要な場合であれば、特に困りますよね。このとき、判決に代わる「公正証書」を予め作成しておけば、裁判を経ることなく、迅速に強制執行手続に移ることができます(民事執行法22条5号)。これが公正証書を利用した債権回収の一番の強みです。
2 判決に代わる「公正証書」とは?
公正証書は、公証人によって作成されるもので、公証人は裁判官や検察官を退職した方等が就く役職ということもあって、公的な証明書として社会的に高い信用性が認められています。
そして、その高い信用力を根拠として、契約などの法律行為を示す公正証書のうち、法定の要件(①金銭の支払等を目的とする請求権であること②「執行受諾」文言の記載があること)を満たすものは「執行証書」とよばれ、確定判決に認められるものと同じ執行力が認められます。ただ、その要件からして、不動産の明渡請求権等の執行には用いることが出来ない点に注意してください。
例えば、最初の事案であれば「①(あなた)とAは平成○年○月○日付で、弁済期を平成×年×月×日とする金80万円の返還約束をし、80万円を交付した。②債務を履行しないときにはAは直ちに強制執行に服する」という記載の公正証書を作成すれば、裁判をせずに強制執行できるということです。
3 公正証書作成
以上のように、執行力を有する公正証書を作成しておくことは、債権回収として非常に有用です。もっとも、公正証書作成には一定のルールがあり、また、どのような公正証書を作成することが効率的な債権回収につながるかは、弁護士の専門的知識と経験が物を言います。
この点、当事務所に相談してもらえば公正証書作成のアドバイスを丁寧にさせていただきます。お任せください。
債権回収の相談は村上新村法律事務所まで
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投稿者:
2021.01.21
弁護士による債権回収は、一般的に次のような流れになります。
(1) 弁護士名の内容証明郵便による督促
弁護士があなたの代理人として、債務者に対し「通知書」という形で債務の履行を督促します。通知書には、支払期限までに支払わないときは、法的手段をとることを併記し、任意での支払いを促します。この通知で支払いを行わないときは、以下のような法的手続がとられるため、支払いを促す心理的な効果もあるようです。
(2) 仮差押え
仮差押えとは、金銭債権の執行を保全するために、債務者の財産の処分に一定の制約を加える裁判所の決定で、具体的には、不動産の仮差押え、債権の仮差押えなどがあります。
金銭債権の回収を図るためには、次の民事訴訟を提起して判決などの債務名義を取得した上で、債務者の財産に対して強制執行をする必要がありますが、裁判には一定の時間がかかります。その間に、債務者の財産が散逸してしまったりして、強制執行をしても満足を得られなくなってしまうという危険を防ぐため、債務者の財産を仮に差し押さえておくというものです。
ただし、あくまで仮の差押えですので、後に民事訴訟によって請求債権が存在せず、債務者に損害を与えてしまったような場合のため、担保金を積む必要があります。担保金の額は、事案によって様々ですが、不動産の仮差押えの場合で、その不動産の価格の5~35%程度になります。
債務者が財産を処分してしまう可能性が高い場合には、上記(1)に先んじて仮差押えを取得しておくこともあります。
仮差押えがなされた段階で、その仮差押えを解除するために、債務者から任意で支払われる場合もあります。
(3) 民事訴訟の提起
裁判所に対し、「被告は原告に対し、金○○円を支払え。」との判決を求める手続きです。判決が得られた場合には、この判決が債務名義となり、次の強制執行を行うことができます。
また、裁判所内で、債務者の収入等に応じた和解(例えば分割払いなど)が成立することもあります。なお、裁判所で和解が成立した場合には、和解調書が作成され、その和解内容は判決と同一の効力を持つことになりますので、仮に和解の内容通りに支払ってもらえない場合などには、その和解調書が債務名義となって、強制執行を行うこともできます。
(4) 強制執行
国の力を借りて相手方の財産を強制的に換価し、その代金から債権回収を図る方法です。具体的には不動産の強制競売、預金や給料の差押えなどがあります。
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投稿者:
2021.01.20
事業に行き詰まりを感じている会社・法人の経営者は少なくないでしょうが、弁護士から見た場合「破産するまでもない」というケースが結構存在します。そこで、村上新村法律事務所の視点から、経営者が破産申立をする前に知っておくべきこと・考えておくべきことを、事業再生と関連して、数回に渡りブログ連載してみます。
法人破産を考える前にすべきことは、収支改善ができないか、負債を何とかできないかという2点です。とりあえず、今回は収支改善方法から。
収入を増やせないか
① 収入を増やすことにも、2つの方向があり、先ずは売上を増やせないか。
ただ、再生を試みる事業であるから問題を抱えていますので、その問題点を把握し克服していかなければなりません。そのためには、当該事業の内外の環境を分析し、当該事業の強み・弱み、機会・脅威を知る必要があります。
② もう1つの方向は、代金回収を増やせないか。商品を卸したのはいいが代金が回収できなければ意味がありません。
それは、弁護士の得意(https://m2-law.com/blog/1158)とするところですが、代金回収が現に遅れている事後対策としては、内容証明を送る、仮差押・訴訟・強制執行をするといった方法があります。
また、代金が発生する前の事前対策としては、公正証書(https://m2-law.com/blog/1165)を交わして保証人をつける、担保権を行使するといった方法もあります。
担保権というと大袈裟のようですが、例えば、動産の売主には動産売買先取特権(民法311条5号https://m2-law.com/blog/1169 )という法定担保権があり、効率よく(行使するには工夫が必要だが上手く使えば)それなりの回収が可能になります。また、所有権留保(https://m2-law.com/blog/1167)という手段もあります。
「担保といっても金融機関に全て押さえられている」と諦めるのは早く、倉庫の商品(動産)や卸先相手方の売掛先の代金債権を集合動産債権譲渡担保(https://m2-law.com/blog/1171)といった方法で押さえておく手もあります。
支出を減らせないか
収支改善のもう1つの方法は、支出を減らすこと。収入>支出であればいいからです。「それくらいわかっているし努力はしている」といわれるかもしれませんが、本当にそうでしょうか。
① 賃料はどうでしょう。このご時世賃貸人にも都合があります。綺麗で安値の物件が増えてきているので、この賃借人には出て行って貰いたくないと思ってくれるなら、話し合い等をすれば賃料を減らせることも多いです。苦しいときには頭を下げることも必要です。
② それから固定資産税、都市部であれば相応の税金を支払っていると思われますが、基本となる固定資産の評価下げができれば、相応の税金負担が下がります。不動産鑑定士等専門家の協力も必要ですが、費用を超える効果があれば結局得になります。
③ 人件費についても、就業規則等の改善や外注化により、残業代等を減らすことも可能かもしれません。この点も、社会保険労務士等専門家の協力が必要な場合もありますが、要は費用以上の経費削減ができればよいことです。
これら専門家を必要とする場合は、細かく動くと際限がいないので、システマティックに一気に制度化してしまうことが経済的にも合理的です。先に述べた債権回収システムの構築を弁護士等に依頼する場合も同様です。
法人破産を考える前に
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