2021.11.18
平成27年8月から令和3年6月までの間に宅建業法違反で行政処分を受けた違反行為は、以下のとおりです(以下の番号は、別表第1に付した番号に従っています。別表第1については、https://m2-law.com/blog/3368/ 参照)。
1 変更の届出義務違反(法9条)
大阪市○○から大阪市△△へ事務所を移転しているにもかかわらず、事務所所在地の変更の届出を行わなかった。
業務停止30日間 届出義務違反(法9条)は指示に留まる違反行為類型ですが、本件事案では他にも専任宅地建物取引士不存在(6-原則業務停止7日間ですが、知事指摘後の違反状態の是正がないと30日間)と報告拒否(55-業務停止15日間)の違反行為が同時に処理されたという事情がありました。
4 営業保証金の供託等に関する義務違反
宅建業者は、営業保証金を供託しなければなりません(法25条1項)が、その金額は本店の場合で1000万円と高額であることから、多くの方が、宅建業保証協会の社員となる形でその負担を免れています。
しかし、宅建業保証協会の社員たる地位を失うと、原則通り営業保証金を供託しなければならず、その期間は地位喪失から1週間以内とされています(法64条の15前段)。ところが、本件事案では、その義務を守れませんでした。
業務停止30日間 なお、上記と類似の場合において、業務停止期間経過後も供託をせず、その情状が特に重いとされると、営業免許が取り消されたものがあります(法66条1項9号)。
6 専任宅地建物取引士の設置義務違反(法31条の3)
宅建業者は、事務所等ごとに、専任の宅地建物取引士(以下、取引士といいます)を置かなければなりません(法31条の3―1項)。また、既存事務所等で、取引士がいなくなれば、2週間以内に必要な措置を執らなければなりません(同条3項)。ところが、本件事案では、新たな専任の取引士を設置しませんでした。
業務停止7日間
7 誇大広告等の禁止違反(法32条)
(1)web広告に、所有者から媒介依頼を受けていない物件を表示+土地の所在を誤り建物が存在しないのに「新築一戸建」等の表示
指示のみ 原則業務停止7日の違反行為類型ですが、監督基準第4-6によれば「指示処分に軽減することがある」旨の記載があり、それにより軽減されたものです(以下、軽減規定といいます)。なお、軽減事由としては、以下のようなものがあります。
ア 関係者に損害が発生せず、その見込みもない場合
イ 知事の指摘に応じ直ちに、損害補てん取組を開始し、補てん内容が合理的で対応が誠実な場合等
ウ 知事の指摘に応じ直ちに、違反状態を是正した場合(損害が発生した場合は、上記②の事由に該当することが必要)等
エ その他特に軽減すべき特別な事情が存在する場合
(2)web広告で、入居者がいて取引できない物件を4年間掲載
業務停止7日間
10 取引態様の明示義務違反(法34条1項)
宅建業者は、広告をするとき、自己が、契約当事者なのか・代理人なのか・媒介なのかを明示しなければなりません(法34条1項)。ところが、本件事案では、売主(当事者)でないにもかかわらず、取引態様を売主としてweb(SUUMO)に10日間広告を掲載しました。
業務停止7日間
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