不動産

宅建業行政処分③重要事項説明書・契約書関連

2021.11.22

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 平成27年8月から令和3年6月までの間に宅建業法違反で行政処分を受けた違反行為は、以下のとおりです(以下の番号は、別表第1に付した番号に従っています。別表第1については、https://m2-law.com/blog/3368/ 参照)。

 

11 媒介契約締結時における書面の交付義務違反(法34条の2)

(1)法人間の売買契約の媒介業務において、売主から売却の依頼を受けたにもかかわらず、売主に対し、媒介契約書を交付しなかった。

    業務停止7日間

(2)土地建物の売買契約(売主:法人、買主:個人)に関する媒介業務において、媒介契約締結時に、買主(依頼者)に対し、媒介契約書を交付しなかった

 指示のみ 原則業務停止7日の違反行為類型ですが、軽減規定が適用されました。

 

14 重要事項説明義務違反(法35条1乃至3項)   

 (1)必要的記載事項を欠く・虚偽記載

一般的な重要事項説明書のひな形は、Ⅰ対象となる宅地に直接関連する事項、Ⅱ取引条件に関する事項、Ⅲその他の事項で構成されています。ここで問題になっているのは、法35条関係であり、主としてⅠに関する事項です

ア 賃貸借契約に関する重要事項説明書に抵当権の詳細(法35条1項1号)、賃貸保証料、契約事務手数料(同条項7号)を記載せず

指示のみ 原則業務停止7日の違反行為類型ですが、軽減規定が適用されました。

イ 土地建物の売買契約の媒介業務において、重要事項説明書に売買対象物件が建築基準法規定の容積率・建蔽率の基準を超過している旨を記載せず(法35条1項2号)

  指示のみ アの事例と同様、軽減規定が適用されました。

ウ 重要事項説明書に、
ⅰ 代金又は交換差金に関する金銭の貸借のあっせんの内容について、金利等の詳細を記載していない(法35条1項12号)
ⅱ 代金以外に授受される金額について、固定資産税等精算金の具体的な額を記載していない(同7号)

 業務停止44日間(売主業者)、45日間(媒介業者) 原則業務停止7日の違反行為ですが、本件事案では上記手法が複数の取引で用いられており、さらに内容の異なる重要事項説明書や売買契約書を作成したり、媒介業者がそれらを買主と金融機関に交付するなどしていたことが、不正不当行為と認定されたことが影響しています(54-原則業務停止30日)。なお、媒介業者はさらに誇大広告(7-原則業務停止7日)も行っていたことから、売主業者よりも業務停止日数が1日多くなっています。

(2)重要事項説明書の交付はしたが説明せず

業務停止7日間 なお、関係者に損害が発生した場合には15日間、その損害が大きければ30日間の業務停止となります。

(3)取引士以外の者が重要事項について説明

業務停止10日間 原則業務停止7日の違反行為類型ですが、他に契約書記載不備の違反(17-原則業務停止7日)もあることが影響しています。

(4)重要事項説明書の不交付

建物の賃貸借契約において重要事項説明書のコピーを交付して説明

指示のみ 交付しなかった場合は、少し重たく原則業務停止15日の違反行為類型とされていますが、軽減規定が適用されました。

 

17 売買契約等の締結時における書面の交付義務違反(法37条1乃至2項)

(1)不動産売買契約書に受領した108,000円(代金及び交換差金以外の金銭)について記載せず(法37条1項6号)

業務停止7日間 

(2)建物1室の賃貸借契約に関する媒介業務において、賃料・共益費の他に月々支払う金銭8,000円が定められていたにもかかわらず、その旨を賃貸借契約書に記載しなかった(法37条2項3号)

業務停止22日間 原則業務停止7日の違反行為類型ですが、他に限度額を超える報酬の受領(28-原則業務停止15日)が影響しています。

(3)賃貸借契約書において賃料に共益費を含め記載した(法37条2項3号)

 業務停止10日間 原則業務停止7日の違反行為類型ですが、他に重要事項説明義務違反(14―原則業務停止7日)のあることが影響しています。

(4)売買契約書において、
ア 建物の代金に係る消費税を記載しなかった(法37条1項3号「代金…額」を記載する際には「当該売買につき課されるべき消費税等相当額」を明記する必要があります(「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方(国土交通省)」34頁)。
イ 瑕疵担保責任について、引き渡し以後2年以内であれば買主は売主に対して責任を追及できるという契約内容であるにもかかわらず、事実と異なる記載をした(法37条1項11号参照)

業務停止44日間(売主業者)、45日間(媒介業者) 重要事項説明義務違反の事例(14-(1)ウ)と同じものです。そちらをご参照ください。

(5)賃貸借契約において、賃貸借契約書を借主に交付していない。

 指示のみ 書面交付すらしていないので、原則業務停止15日の違反行為類型ですが、軽減規定が適用されました。

 

18 宅地建物取引士の記名押印義務違反(法37条3項)

   不動産売買契約書において、宅地建物取引士に記名押印させなかった

 業務停止7日間 原則指示にとどまる違反行為類型ですが、他に不動産売買契約書の記載不備(17―原則業務停止7日)があったことが影響しています。

 

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投稿者:弁護士法人村上・新村法律事務所

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