不動産

賃貸住宅管理業法②誇大広告規制

2021.10.04

 

 

1 はじめに

  管理業法28条では、特定転貸業者等による誇大広告等が禁止されています。条文は、次のようになっています。

第28条(誇大広告等の禁止)
 特定転貸事業者又は勧誘者(特定転貸事業者が特定賃貸借契約の締結についての勧誘を行わせる者をいう。以下同じ。)(以下「特定転貸事業者等」という。)は、第2条第5項に規定する事業にかかる特定賃貸借契約の条件について広告をするときは、特定賃貸借契約に基づき特定転貸事業者が支払うべき家賃、賃貸住宅の維持保全の実施方法、特定賃貸借契約の解除に関する事項その他の国土交通省令で定める事項について、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない。

 長くてわかりづらいですよね。詳しくはこれから解説しますが、おおまかにいうと、業者がサブリースの広告をするときには、実際よりも著しく優良であると誤認させるような広告をしてはならないということが規定されています。

 

2 特定転貸事業者とは

(1)ちなみに、前提として「特定転貸事業者」とは、特定賃貸借契約に基づき賃借した賃貸住宅を第三者に転貸する事業を営む者をいいます(管理業法2条5項)。

(2)そして「特定賃貸借契約(マスターリース契約)」とは、賃貸住宅の賃貸借契約(賃借人が賃貸人と密接な関係を有する者として国土交通省令で定めるものを除く-賃貸人が、個人である場合の親族・法人である場合の親子会社等)であって、賃借人が当該賃貸住宅を第三者に転貸する事業を営むことを目的として締結されるものをいいます(管理業法2条4項)。

 老人ホームやデイケアホームを利用契約という形で運営する場合は「賃貸住宅の賃貸借契約」に関するものではなく、特定賃貸借契約にあたりません(FAQ1(3)5)。また、個人が賃借した賃貸住宅について、事情により、一時的に第三者に転貸するような場合は「事業を営むことを目的」とするものではなく、特定賃貸借契約にあたりません(FAQ1(3)1)。

(3)ここも、少しわかりにくいですが「賃貸住宅」をサブリースする「業者」は「特定転貸事業者」に該当すると考えられます。

 

3 誇大広告等

管理業法28条のタイトルは、誇大広告「等」の禁止です。ここから、実際の条件より優良であるとみせる「誇大広告」が禁止されていることがわかります。では「等」には、何が含まれるのでしょうか。この等には、「虚偽広告」が含まれるとされています。「誇大広告」と「虚偽広告」を併せて、「誇大広告等」と表現されているのです。

ここでいう広告とは何でしょうか。広告と言えば、新聞の折込チラシやテレビCM等が思い浮かびます。最近は、インターネットでも広告を見かけることも多くなりました。管理業法28条が対象とする広告は、その媒体が限定されておらず、すべての媒体でされる広告が対象となります。

 

4 誇大広告等をしてはならない事項

  誇大広告等をしてはならない事項として、管理業法28条では、①賃料に関する事項、②物件の維持等に関する事項、③維持費の分担に関する事項、④解除に関する事項及び⑤その他国土交通省令で定める事項が規定されています。

 

5 「著しく事実に相違する表示」

  管理業法28条では「著しく事実に相違する表示」が禁止されています。どのような場合に「著しく」といえるかは、個別の表示に即して判断されることとなりますが、一般論としては、オーナーとなろうとする者が事実の相違を知ればサブリース契約を締結しようと思わないような場合に「著しく」にあたると考えられています。

 

6 「実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示」

 管理業法28条では、「実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示」が禁止されています(具体例については後述します。)。誤認するかどうかは、オーナーの知識にもよるのでは?とも考えられそうです。しかし、ここでのオーナーには、サブリース契約の内容等につき、専門的知識や情報を有していないオーナーが想定されています。したがって、専門的知識のないオーナーを誤認させるような表示は、同条の「実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示」に該当すると考えられています。

 

7 記載の具体例

 以下では、いくつかの具体的な記載を紹介しながら、解説を行います。ここで紹介しきれなかった具体例については、「サブリース事業に係る適正な業務のためのガイドライン」をご参照ください。

(1)具体例1

 記載例

・「○年家賃保証!」「支払い家賃は計約期間内確実に保証!」

 解説

  判例上、サブリース契約にも借地借家法の適用があるとされています。そして、借地借家法32条では、賃料減額請求が規定されています。賃料減額請求とは、一定の場合に、賃借人(サブリース業者)から賃料の減額を請求できる権利です。家賃保証との記載があるとしても、実際には、賃料が減額される可能性があるのです。したがって、上記の内容のみでは、管理業法28条に違反するものと考えられます。

 管理業法28条に違反しないためには、上記の記載に加え、その記載と隣接する箇所に、「定期的な見直しがあること」等のリスク情報についても表示することが必要になるのです。さらに、実際には、記載の文字の大きさにも注意しなければなりません。

 

(2)具体例2

 記載例

 ・「いつでも自由に解約できます」

 解説

  前述したとおり、サブリース契約にも借地借家法の適用があります。借地借家法では、貸主(オーナー)側から契約を解除するには、「正当な理由」が必要です。そのため、サブリース契約は、オーナーがいつでも自由に解除できるわけではありません。

 

(3)具体例3

 記載例

 ・「30年一括借り上げ」「建物がある限り借り続けます」

 解説

  広告では上記のような記載をしていても、実際には、一定の場合には業者側から解約できる場合があります。業者側からの解約の可能性があるのに、その旨を記載しないことは、管理業法28条に違反すると考えられます。
 この場合、一定の場合には業者側から解約できることを表示しなければなりません。

 

6 まとめ

  以上のように、管理業法では、誇大広告等が禁止されています。管理業法28条の対象となる広告は、チラシやインターネット等媒体の如何を問わないので、広告媒体ごとに注意すべきポイントもあります。
 記載例もいくつか紹介しましたが、これらはあくまでも例であり、実際には広告を見たうえで具体的に検討することが必要になります。

 

不動産の法律相談は村上新村法律事務所まで

大阪オフィス

https://g.page/murakamishinosaka?gm

川西池田オフィス

https://g.page/murakamishin?gm

福知山オフィス

https://g.page/murakamishinfukuchiyama?gm   

 

 

投稿者:弁護士法人村上・新村法律事務所

お客さまのお話に耳を傾け
問題解決に向けて
ベストの選択をご提案します

営業時間
平日 9:00~17:30
定 休 日
土曜/日曜/祝日 ※事前予約で対応可能
TOP