2021.02.08
一時停止とは
現代的意味における私的整理とは、金融機関等のみを対象とした、負債に関するリスケ・DDS・債権放棄といった交渉です。話し合いをするにしても、その金額を確定させなければならず、そのために元金の支払を停止することを一時停止といいます。
中小企業再生支援協議会(以下、支援協といいます。)等を利用する場合、支援協と債務者の連名で一時停止の通知を送るとされています。かつてはこの一時停止自体が大きな問題でしたが、金融円滑化法の施行以降金融機関もその対応に慣れてきており、今では債務者個人が一人で赴いてもそのこと自体はすんなりいくことが殆どだと思います。
ただ、注意すべき点も幾つかあり、最も出くわすことの多い中小企業者が金融機関と相対で私的整理をする場合を念頭に、簡潔に述べておくことにします。
注意点
1 利息等
一時停止といっても元金の支払を止めるだけです。利息等は支払わなければなりません。その際、信用保証協会の保証料等は、一時停止を求める期間分を先にまとめて支払わなければならないので多額になることが多いので注意が必要です。
2 期間
一時停止の期間は3~6ヶ月というのが一般的です。金融円滑化法が健在だった当時は、それに続いて幾度か繰り返されることもあったように思われるが、その終焉を迎えてからは若干慎重な金融機関も増えていました(ただ、現在のコロナ禍では先行が不透明なことから、いきなり決算期乃至は1年単位の停止を認める例も多いです。)。
なお、当日に行ってその日に止めるというのも難しく、支払日の10日程前に金融機関に一時停止の相談に行くというのが理想です。
3 金融機関に赴く場合の注意点
① 数行取引がある場合は、重要度(メイン、借入金額、担保設定状況)や担当者のスケジュールに応じて判断すればいいですが、同日に回るのが好ましいといえます。止むを得ず日にちがずれる場合は、不公平の生じないよう各金融機関の支払日を念頭に入れて考える必要があります、一行の支払を止めておきながら他行の支払はしてしまうことはないよう注意が必要です。
② 一時停止は私的整理のために行うのであり、合実計画等による話し合いの前提行為であることを忘れてはいけません。
ただ、一時停止を求める時点で合実計画等を最後まで詰めておく必要はありません。一時停止後の売上収支の状況をみるのも大事です。ただ、何時頃までに実態バランスをつくって、何時頃までに合実計画等を持っていくのか、およその時間的目安は立てておくべきでしょう。相談依頼が何時の時点でなされたにもよりますが、それが士業或いは認定支援機関として行う私的整理であるなら尚更だと思います。
③ 一時停止の相談に赴く際は、謝罪の意味も含め債務者(代表者)が同行すべきでしょう。経理等の実務担当者も同席することが望ましく、士業等が関与するのであれば、挨拶を含め最初の段階で赴くべきと思います。その際に持参する資料としては、債務者の決算書は金融機関であれば持っているので、直近の試算表と今回一時停止に至った経緯(一時的なものか恒常的なものか、その対策はどうするのか)を簡単にメモ書きにでもして持参すると説明しやすいと思います。
④ なお、上記(2)で述べたとおり、現在のコロナ禍では、先行不透明であることを金融機関も熟知しており、上記②、③については、柔軟な対応をするところが多いかと思います。
法人破産を考える前に
私的整理の相談は村上新村法律事務所まで
大阪オフィス
https://g.page/murakamishinosaka?gm
川西池田オフィス
https://g.page/murakamishin?gm
福知山オフィス
https://g.page/murakamishinfukuchiyama?gm
事業再生・法人債務整理サイト
投稿者:
不動産
事業再生法人破産
企業法務
新着情報