2021.01.26
リスケ
収支改善(https://m2-law.com/blog/1147)により生み出した利益を使って、次は負債返済となります。5年が難しければ10年、15年で返せるよう話し合いをしてみる。これが私的整理における金融機関に対するリスケ(リスケジュール)交渉です。
リスケの程度によっては金融機関として応じられないものもあるでしょう。その線引きが何処でされるかについては、令和元年12月に廃止された金融検査マニュアル等に示されていた金融機関の論理を掴む必要があります。
リスケに応じて貰ったが、その後どこも融資をしてくれなくなってしまっては事業再生ではありません。事業のためには先金が必要である以上、リスケ後も融資を受けられる状態にすることが事業再生には不可欠です。
その意味で、いわゆる貸出条件緩和債権として金融機関から格下を受けないようにする必要があります。そのためには金融庁の監督指針等に示されている実抜計画(実現可能性の高い抜本的な経営再建計画)や合実計画(合理的かつ実現可能性の高い経営改善計画)によるリスケが必要になります。
負債カット
リスケは、負債の返済期間を延ばすことで、完済を前提にします。50年かからないと完済できないリスケには無理があり、そうなると負債カット(債権放棄)しかありません。その方法としては、私的整理(話し合い)による場合と法的整理による場合があります。
近頃は、金融機関も私的整理に慣れてきたので、場合によっては交渉による負債カットも可能になってきています。ただ、私的整理では金融負債の2、3割程度をカットするのが限界でしょう。
それ以上の負債カットを目指すなら法的整理の検討になります。たまに聞くと思いますが、民事再生申立というのが法的整理による事業再生の典型です。そこには、清算価値(時価)を下回ることができないという限界(清算価値保障原則)はありますが、大幅な負債カットも可能です。金融機関は、店舗・工場等事業継続に不可欠な資産に担保権を設定していることが多いですが、金融機関との協議(別除権協定)がととなわなくても、中止命令・担保消滅許可という制度により、重要な資産を維持することも可能な場合があります(https://m2-law.com/blog/1206)。
ただ、私的整理と異なり商取引債権もカットの対象にしなければならない上、手続が公になるので事業価値の毀損が著しいといえます。それを可能な限り低めるのが、スポンサーの存在であり、そのメリットを最も活かすよう工夫されてきたのが申立時点からスポンサーを決めておくプレパッケージ型民事再生です。
負債の大幅カットを目指すのか事業価値毀損を防ぐのか、ここが私的整理・法的整理何れのスキームを選択するか1つの分れ目です。
事業譲渡・会社分割
最後に、法的整理によっても、カットできない負債もあり、民事再生でいえば、税金や労働債権です(一般優先債権)。また、負債カットを受けるとそれが免除益という利益になって課税対象となります。繰越欠損金で処理できればいいですが、その中での対応が難しくなるとアウトです。
このような場合に活きてくるのが、事業譲渡・会社分割を使った事業再生です(https://m2-law.com/blog/1204)。債権者主導(私的整理)で行われる場合もあれば、債務者主導で行われる場合もあります。
事業譲渡・会社分割を利用した事業再生の場合、事業譲渡等の対価(事業価値)を債権者が早期一括で受け取れるというメリットも存在し、最近の事業再生スキームの流行といえます。特に、私的整理の場合、事業価値毀損もなく金融債権者全員の同意があるので、まさに「三方良し」です。
ただ、債権者の影響力が、私的整理>民事再生>破産と薄まっていくので、その「公正」をどのように確保していくかが、問題になります。
以上が、法人破産を考える前の負債対応の概要です。
ちなみに、画像は信州の有名なお蕎麦屋さんのもの。家族経営のこじんまりしたお店ですが、抜群においしく行列が絶えません。負債対応には、延ばすこと(リスケ)、切ること(カット)が必要な場合があり、蕎麦打ちに似ていますが、良い水(金)が入らないと美味く(上手く)いきません。ここら辺のコツをご指導できればと思います。ここら辺が、村上新村法律事務所の強みである弁護士による経営相談の一場面でもあります(https://kawanishiikeda-law.jp/blog/844)
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